ゴール後わずか30秒で3DCG化|ソニーの技術が陸上中継の「見え方」を変えた
ゴール後わずか30秒で3DCG化|ソニーの技術が陸上中継の「見え方」を変えた

こんにちは、よしおくんです。
ソニーが、陸上中継の新しい映像表現に挑戦しました。
舞台は、2026年9月11日から13日までハンガリー・ブダペストで開催された「World Athletics Ultimate Championship 2026」です。
今回注目したいのは、選手がゴールしてからわずか約30秒で3DCG映像を作り上げるという取り組みです。
トラック全周を囲む26台のカメラで選手の動きを捉え、位置や動きをデータ化。
その情報から、フィニッシュラインを正面・横・真上などから見た3DCG映像を生成し、生中継へ送り出しました。
今回の取り組みは、ソニー独自の光学トラッキング技術を活用した実証実験として行われました。
つまり、単に競技を撮影するだけではありません。
「あのゴールは、実際にはどう見えていたのか」
それを、カメラでは撮れない新しい視点から分かりやすく伝える。
今回の3DCG映像は、スポーツ中継の「見え方」を変える可能性を感じさせます。
そして今回、もうひとつ興味深い点があります。
この映像制作を担ったのは、普段から技術開発に携わっているソニーのエンジニア自身です。
今回は、ソニー広報noteで公開された現地レポートから、その舞台裏を見ていきます。
ソニーの陸上中継向け3DCG映像はゴール後約30秒で完成

今回の取り組みで、まず驚いたのが映像が完成するまでの速さです。
選手がフィニッシュラインを通過すると、スタジアムは歓声に包まれます。
しかし、その瞬間からソニーチームにとっては、もうひとつの本番が始まります。
選手の動きを解析したデータから、高精度な3DCG映像を生成。
完成した映像を確認し、国際映像制作を担当するHost Broadcast Services(HBS)の中継車へ送ります。
そこまでにかかる時間は、
ゴールから約30秒。
競技終了後に時間をかけて編集する映像ではありません。
生中継の流れの中で使われることを前提に、短時間で映像を作り上げています。
このスピード感は、今回の取り組みを理解するうえで大きなポイントだと思います。
26台のカメラでトラック全周の選手を捉える

3DCG映像を作るため、スタジアムには多数のカメラが設置されています。
ソニー広報noteによると、使用されたのは26台のカメラ。
トラック全周を囲むように設置し、走る選手の位置や動きを捉えています。
フィニッシュライン周辺では、8台のカメラから集まる映像を確認しながら、システムが正常に動作しているかをチェックします。
複数のカメラ映像を使って選手の位置や動きを解析し、データ化します。
そして、その情報を3DCGとして再構築します。
これにより、
- フィニッシュライン正面
- 横方向
- 真上
など、通常の中継カメラとは異なる視点からゴールを見ることができます。
実際にはカメラを置いていない視点からでも、レースを3DCGで再現できるわけです。
「誰が勝ったか」だけではなく「どう勝ったか」が見える

短距離競技は、ほんの一瞬で勝負が決まります。
100mなら競技時間は10秒前後。
わずかな差で順位が決まるため、テレビで見ていても、
「今、どちらが前だった?」
と感じることがあります。
そこで役立つのが、今回の3DCG映像です。
選手を正面や横だけでなく、真上などから見ることができれば、ゴール直前の位置関係も理解しやすくなります。
つまり、
「誰が勝ったか」だけではなく、「どのように勝負が決まったのか」まで見せられる。
ここに、ソニーが取り組む新しいスポーツ中継の面白さがあります。
目指しているのは「見れば分かる」映像
今回の取り組みでは、単に最新技術を使うことが目的ではありません。
HBSのTVプロデューサーは、スポーツ中継で重要なのは「Aha Moment」だと語っています。
「ああ、そういうことだったのか」
「こんな見え方は初めてだ」
そんなふうに、長い説明を聞かなくても競技を直感的に理解できる瞬間です。
結果やタイムだけを表示するのではなく、
映像を見ただけで、選手のすごさやレースの展開が伝わる。
3DCGは、そのための新しい表現方法というわけです。
技術を作ったエンジニア自身が「魅せ方」まで担当
今回、個人的に特に興味深かったのがここです。
現場で映像制作を担当しているのは、普段から光学トラッキングやビジュアライゼーション技術の開発に携わっているソニーのエンジニアです。
技術を開発して提供するだけではありません。
実際の競技を見ながら、
「どの角度から見せるのか」
「どの瞬間を強調するのか」
「どうすれば選手のすごさが伝わるのか」
まで考えます。
そして、完成した3DCG映像を放送へ送り出します。
技術をつくる人が、「魅せる」ところまで担当する。
今回の挑戦を象徴している部分ではないでしょうか。
大会開幕の約2週間前から現地で準備

こうした映像は、カメラを設置すればすぐに作れるものではありません。
ソニーチームは、大会開幕の約2週間前からブダペスト入りしています。
現地では、
カメラの設置。
映像制作フローの確認。
生成される3DCGの精度確認。
さらに、システムの動作チェック。
細かな調整を繰り返して本番を迎えています。
陸上競技は0.1秒、0.01秒を争う世界です。
そのため、選手の位置や動きを正しく捉えることが重要になります。
しかも今回は生中継です。
やり直しはできません。
華やかな競技映像の裏側で、かなり緊張感のある作業が行われていることが、今回の現地レポートから伝わってきます。
3DCG映像化された競技は?
今回、3DCG映像化の対象となったのは、スピード感のある競技が中心です。
対象競技は次の通りです。
- 男女100m
- 男女200m
- 男女400m
- 男女混合4×100mリレー
- 女子100mハードル
- 男子110mハードル
- 男女400mハードル
いずれも、わずかな差で順位が決まることのある競技です。
だからこそ、選手の位置関係を新しい視点から見せる3DCGとの相性が良いのだと思います。
ソニーは「カメラを作る会社」だけではない
当店では普段、αや交換レンズなど、ソニーのカメラ製品を多く紹介しています。
そのため、「ソニーの映像技術」と聞くと、カメラそのものを思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、今回の取り組みを見ると、
カメラで撮る。
選手を追跡する。
動きをデータ化する。
3DCGとして再構築する。
そして、どう見せれば競技の魅力が伝わるのかまで考える。
ソニーが関わっているのは、撮影機材だけではありません。
その先にある「映像体験」そのものにも関わっています。
ここは、今回のニュースを見ていて個人的にも非常に興味深く感じました。
Q&A|ソニーの陸上中継3DCGについて

Q.ソニーの陸上中継向け3DCG映像は、ゴール後どのくらいで完成する?
ソニー広報noteでは、ゴールから約30秒で3DCG映像が完成すると紹介されています。
生成された映像は確認後、国際映像制作を担当するHBSの中継車へ送られ、生中継で使用されました。
Q.3DCG映像の制作には何台のカメラが使われた?
トラック全周を囲む形で、26台のカメラが使用されました。
フィニッシュライン周辺では、8台のカメラから集まる映像を確認していました。
Q.なぜ陸上中継を3DCG化するの?
通常の中継カメラでは撮影できない角度からレースを見ることで、選手同士の位置関係やゴールまでの展開を、より直感的に理解できるようにするためです。
まとめ|ゴールした瞬間から、もうひとつの本番が始まる

今回のソニー広報noteを読んで、特に印象に残ったのが、
選手がゴールした瞬間から、ソニーのエンジニアにとってはもうひとつの本番が始まる
という点でした。
26台のカメラで選手を捉え、その動きを解析。
ゴール後約30秒で、新しい視点の3DCG映像へ仕上げます。
しかも、その技術を開発したエンジニア自身が「どう見せるか」まで考えています。
普段何気なく見ているスポーツ中継ですが、その裏側では映像表現そのものが進化しています。
ソニーが今回挑戦しているのは、カメラで競技を撮ることだけではありません。
競技の魅力を、これまでとは違う視点で伝えること。
これからスポーツ中継を見るときは、
「この映像は、どうやって作られているんだろう?」
そんなところにも注目してみると、また違った楽しみ方ができそうです。
ソニー公式情報はこちら
今回の取り組みについて詳しくは、ソニー公式「広報note」をご確認ください。
この記事を書いた人

よしおくん
横浜のソニーショップ「ナカムラ電器」で、ソニー製品の販売と情報発信を担当しています。
カメラ・レンズ、Xperia、オーディオなどを実際に使い、ソニーショップとして販売する立場と、実際に製品を使うユーザーとして感じたことの両方から記事を執筆しています。
新製品の先行展示にも足を運び、スペックだけでは分からない使い心地や、購入前に知っておきたい情報をできるだけ分かりやすくお届けします。
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