ソニーが長嶋茂雄氏の伝説のホームランを解析|67年前の白黒映像で起きた「奇跡のジャストミート」
ソニーが長嶋茂雄氏の伝説のホームランを解析|67年前の白黒映像で起きた「奇跡のジャストミート」

こんにちは、よしおくんです。
2026年9月17日、ソニー株式会社の広報noteに、とても興味深い記事が公開されました。
テーマは、長嶋茂雄氏のホームラン解析です。
1959年6月25日の「天覧試合」で、長嶋茂雄氏が放った2本のホームラン。
その歴史的な2本のホームランを、ソニーのグループ会社「Hawk-Eye Innovations(ホークアイ)」で使われている技術を応用して読み解くプロジェクトです。
現在のプロ野球では、複数のハイスピードカメラを使って選手やボールの動きを捉えています。
ところが今回、解析に使えたのは67年前に1台のカメラで撮影された、不鮮明な白黒映像でした。
さらに驚いたのが、その解析途中で起きた出来事です。
別々に再現していた「長嶋氏のバッティングフォーム」と「ボールの軌道」。
それらを最後に3D空間で重ねたところ、バットとボールが見事にジャストミートしたというのです。
今回は、ソニーが公開した広報noteをもとに、この興味深いプロジェクトをご紹介します。
長嶋茂雄氏のホームラン解析とは
まず、今回のプロジェクトを簡単に確認してみましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公開日 | 2026年9月17日 |
| 対象試合 | 1959年6月25日 巨人対阪神戦 |
| 球場 | 後楽園球場 |
| 解析対象 | 長嶋茂雄氏が放った2本のホームラン |
| 使用映像 | 1台のカメラによる白黒映像 |
| 関連技術 | Hawk-Eye Innovationsで使われる技術を応用 |
| 主な解析 | 打球速度・飛距離・打球角度・スイング速度 |
今回解析されたのは、いわゆる「天覧試合」です。
昭和天皇が観戦された1959年6月25日の巨人対阪神戦で、長嶋氏は5回と9回にホームランを放ちました。
特に有名なのが、4対4で迎えた9回裏です。
長嶋氏が放った一打は、試合を決めるサヨナラホームランとなりました。
まさに日本プロ野球史に残る場面です。
なお、この解析は、2026年8月に発売された公式書籍「永久不滅版 FOR3VER 長嶋茂雄」にも掲載されています。
同書では、現存するモノクロ映像をソニーの技術で解析し、天覧試合のホームランを読み解く企画が収録されています。
現在のホークアイなら複数のカメラでプレーを追える
では、そもそも「ホークアイ」とは、どのような技術なのでしょうか。
現在、プロ野球12球団の一軍球場には、ホークアイのトラッキングシステムが導入されています。
球場内に設置した複数の光学トラッキングカメラによって、ボールだけでなく選手の骨格や動きまでデータ化します。
ソニーの広報noteによると、通常は8台以上の固定されたハイスピードカメラ映像から、選手やボールの三次元的な位置や姿勢を推定します。
そのため、投球や打球を細かな数値として確認できます。
さらに、取得したデータを使って、実際のプレーを3DCGで再現することも可能です。
つまり、現在のプロ野球では「映像を見る」だけではありません。
その瞬間に何が起きていたのかを、データとして見る時代になっています。
ところが67年前の映像は「1台のカメラ」だけ

しかし、今回の長嶋茂雄氏のホームラン解析は条件がまったく違いました。
使えたのは、60年以上前に撮影された白黒映像です。
しかも、カメラは1台だけ。
画質も粗く、長嶋氏を真横から撮影した映像ではありません。
斜め上から撮影されており、映像そのものにも揺れがありました。
通常のホークアイなら、複数のカメラから奥行き情報を取得できます。
一方、この映像には十分な奥行き情報がありません。
さらに、当時のカメラが球場のどこに置かれていたのか。
どの角度から撮影されていたのか。
それすら分からない状態だったそうです。
ここから3D空間を作るというだけでも、かなりの難題だったことが分かります。
バッターボックスやバットの長さまで手掛かりに

そこで、制作チームは映像だけに頼りませんでした。
長嶋氏の身体や立ち位置を再現する際には、身長や骨格などの体型情報を活用。
さらに、バットの長さも手掛かりにしました。
そして球場側については、映像に残っているラインやベースなど、規格が分かっているものから当時のカメラ位置や姿勢を推定しています。
ただし、映像が粗いため、すべてを正確に読み取れるわけではありません。
そこで、技術だけでなく、担当者自身の野球経験も活用したそうです。
「この打ち方なら、打球はこの方向へ飛ぶはず」
そうした野球の知識まで組み合わせながら、少しずつデータの精度を高めていきました。
ここが今回のプロジェクトで、個人的に特に面白いと感じたところです。
単純にAIやコンピューターへ古い映像を入れれば、自動的に解析できたわけではありません。
映像解析技術と、既知の情報、そして人の経験を組み合わせているのです。
別々に作ったデータが「ジャストミート」

そして、今回もっとも驚いたのがここです。
制作チームでは、作業を分担していました。
一方では、長嶋氏の身体やバッティングフォームを3DCGで制作。
もう一方では、球場とボールの軌道を再現していました。
つまり、最初からバットとボールが当たるように、一つのデータとして作ったわけではありません。
それぞれ別々の3D空間で制作していたそうです。
ところが最後に両方のデータを統合すると、バットとボールの位置がぴたりと一致しました。
広報noteのタイトルにある、
「奇跡のジャストミート」
という言葉につながる瞬間です。
これは面白いですね。
映像の中では一瞬で過ぎ去ってしまうバッティング。
しかし、67年後に別々の方向からデータ化していった結果、そのインパクトの瞬間へたどり着いたことになります。
9回のホームランから見えた長嶋氏のすごさ
さらに、解析を担当した社員の方は、9回裏のサヨナラホームランについて興味深い分析をしています。
長嶋氏は、ボールをかなり投手寄りの位置で捉えていたそうです。
それでも打球はファウル方向ではなく、フェアゾーンへ向かっています。
担当者は、その点から長嶋氏のバット軌道の合理性に驚いたと語っています。
もちろん、これは今回の3DCG解析と担当者の野球経験をもとにした見解です。
ただ、「伝説のホームランだった」という記録だけでなく、なぜあの一打が生まれたのかを技術で読み解くという試みは非常に興味深く感じます。
現在のプロ野球ならスマホでホークアイのデータを見られる
そして、この話は67年前だけで終わりません。
現在のプロ野球では、同じホークアイのトラッキングデータを、私たちもスマートフォンから見ることができます。
それが、NPB公認のプロ野球速報アプリ「NPB+(プラス)」です。
NPB+は2026年2月26日に正式サービスを開始しました。
試合中には、ホークアイによるデータから、
| 打撃データ | 投球データ |
|---|---|
| 打球速度 | 球種 |
| 打球角度 | 球速 |
| 飛距離 | 回転数 |
といった情報を確認できます。
また、打球や守備選手の動きを3Dリプレイ映像で確認することもできます。
昔なら、
「すごいホームランだった」
という感覚で楽しんでいたプレーを、
「どれくらい速かったのか」
「何度の角度で飛んだのか」
「何メートル飛んだのか」
というデータと一緒に楽しめるわけです。
今回の長嶋氏の解析を見ると、現在当たり前のように取得しているデータが、将来どんな使われ方をするのかも気になってきます。
ソニーショップとして気になったのは「過去の映像」の可能性
今回の長嶋茂雄氏のホームラン解析を見て、私が特に興味を持ったのは「過去の映像」です。
ホークアイというと、テニスのライン判定や現在のスポーツデータ解析をイメージしがちです。
しかし今回は、現在の試合を解析したものではありません。
67年前に残された、わずか数秒の映像から新しい情報を引き出しています。
これは、かなり面白い使い方だと思います。
もちろん、今回と同じ方法ですべての古い映像を解析できるわけではないでしょう。
それでも、残されている映像と既知のデータを組み合わせることで、これまで「映像として見る」だけだった歴史的なプレーを、別の角度から読み解ける可能性があります。
実際に担当者からも、今回得られた知見を、別の過去映像や他のスポーツへ応用していきたいという考えが語られています。
ソニーのスポーツ技術というと「今のプレーを正確に捉える技術」という印象があります。
しかし今回の記事を読むと、過去の記録に新しい見方を与える技術にもなっていくのかもしれません。
まとめ|67年前の「一瞬」が現代の技術でよみがえった

今回ソニーが公開した広報noteでは、1959年の天覧試合で長嶋茂雄氏が放った2本のホームランを、ホークアイで使われている技術を応用して解析した舞台裏が紹介されています。
現在なら複数のハイスピードカメラで取得できるプレーデータ。
しかし、今回残されていたのは1台のカメラで撮影された白黒映像でした。
そこで、体型やバットの長さ、球場のラインやベースなど、さまざまな情報から3D空間を再現。
さらに、別々に制作したバッティングフォームとボール軌道を重ねると、バットとボールがジャストミートしました。
67年前のわずか数秒の映像を、現在の技術でもう一度読み解く。
単に昔の映像をきれいにするのとは、まったく違うアプローチです。
ソニーのスポーツ解析技術が、これから過去の名場面をどのように見せてくれるのか。
今後の展開も楽しみです。
ソニー株式会社|広報note
今回公開された「長嶋茂雄氏の伝説のホームランを読み解く」の詳細については、ソニー株式会社の広報noteをご確認ください。
・ソニー株式会社|「長嶋茂雄氏の伝説のホームランを読み解く」 ホークアイで使われている技術を応用して難題に挑んだ社員が語る、奇跡のジャストミート
この記事を書いた人

よしおくん
横浜のソニーショップ「ナカムラ電器」で、ソニー製品の販売と情報発信を担当しています。
カメラ・レンズ、Xperia、ブラビア、オーディオなどを実際に使い、ソニーショップとして販売する立場と、実際に製品を使うユーザーとして感じたことの両方から記事を執筆しています。
新製品の先行展示にも足を運び、スペックだけでは分からない使い心地や、購入前に知っておきたい情報をできるだけ分かりやすくお届けします。
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