ECM-AX10はなぜ球形?ソニー開発者が明かす、音づくりと誕生の舞台裏
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こんにちは、よしおくんです。
ソニーは2026年10月15日、空間オーディオマイク「ECM-AX10」の開発秘話を公式noteで公開しました。
今回登場したのは、商品企画を担当した田中光謙氏です。
ECM-AX10といえば、ひと目で分かる球形のマイク部分が特徴です。しかし、なぜこの形が採用されたのでしょうか。
インタビューでは、設計の理由から音づくりの試行錯誤まで、開発の舞台裏が紹介されています。
私も10月9日に発売前の実機を体験しました。そのとき驚いたのは、音の広がり以上に「音がどこにあるか」を感じられたことです。
そこで今回は、開発者の話と実機体験を結び付けながら、ECM-AX10の魅力を紹介します。
ECM-AX10はなぜ球形?見た目ではなく収音のための設計

ECM-AX10の球形モジュールには、4基の全指向性マイクが配置されています。
周囲の音を4基のマイクで捉え、信号処理によって空間全体の音響情報を記録します。
この録音方式が「アンビソニックス録音」です。
左右の広がりだけでなく、音の方向や空間の情報も記録できます。そのため、対応する再生環境では立体的な音を表現できます。

スマートフォンが音を遮らないための工夫
もうひとつ注目したいのが、球形モジュールとスマートフォンの距離です。
開発者によると、スマートフォン本体が音を遮る影響を減らすため、マイク部分を少し離した位置に設計したそうです。
ただし、マイクが大きすぎると持ち運びにくくなります。
そこで、収音性能と携帯性の両立を追求しました。その結果、約24gというコンパクトな製品に仕上がっています。
つまり、この球形は見た目の面白さだけを狙ったものではありません。
音を立体的に捉えることと、日常で使いやすいこと。その両方を考えた形なのです。
ソニーPCLと追求した「臨場感のある音」づくり

開発チームが商品化に向けて特に力を注いだのは、音づくりでした。
ただ周囲の音を録るだけでは、映像を見た人に臨場感が伝わるとは限りません。
人の声は聞き取りやすいか。街のざわめきは自然に残るか。
そうした課題を確かめるため、多様な環境で録音を重ねています。
オーケストラから駅前の環境音まで録音
まず、ソニー・フィルハーモニック・オーケストラの協力を得て、演奏を録音しました。
オーケストラには多くの楽器があり、配置もさまざまです。さらに、低音から高音まで幅広い音域が含まれています。
そのため、空間オーディオの評価に適した題材だったそうです。
しかし、ECM-AX10で録音するのは音楽だけではありません。
開発チームは、自然の音や駅前の電車・車の音も収録しました。また、マイクの周りを歩きながら話し、声の方向の変化も確かめています。
こうして、日常のさまざまな場面で録音を重ねました。
私が興味深く感じたのは、音楽だけで評価を終えていない点です。
旅行や街歩き、家族との時間など、実際に使う場面を想定した音づくりが見えてきます。
プロが仕上げる音を、もっと身近に
音質の調整には、映像制作の実績を持つソニーPCLも協力しています。
音響エンジニアと一緒にスタジオで音を聴き、細かな調整を繰り返したといいます。
プロの映像制作では、録音した音を後から調整します。一方、スマートフォンで撮った動画を、毎回細かく編集するのは大変です。
そこでECM-AX10では、複雑な後処理をしなくても使いやすい音を目指しました。
「音を録る技術」と「映像の音を仕上げる技術」。
この2つの知見が組み合わされた点は、今回の開発秘話で特に注目したいところです。
新しいECM-AX10にも受け継がれたソニーのマイク技術

ECM-AX10は新しい分野のマイクですが、開発はゼロからの出発ではありません。
田中氏は、プロ用やカメラ用マイクの開発経験を持つエンジニアにも相談したと説明しています。
例えば、ノイズカットフィルターやアッテネータの技術です。
アッテネータとは、入力される音声信号を小さくする仕組みです。大きな音を録音する際などに役立ちます。
さらに、ショットガンマイクの開発で培った知見も活用されています。
もちろん、ショットガンマイクとECM-AX10では用途が異なります。しかし、蓄積された技術には共通して活用できるものがあります。
新しい製品だからこそ、これまでの経験が生きているのですね。
ソニーが長く積み重ねてきた技術を、新しい撮影体験に結び付けた製品だと感じました。
「撮りたい瞬間を逃さない」操作性へのこだわり

高音質でも、設定が複雑では日常の撮影に使いにくくなります。
そこで開発チームは、カメラや映像制作に関わる社内チームにも意見を求めました。
さらに、プロのフォトグラファーに話を聞き、動画を撮る人の使い方も研究しています。
その成果のひとつが、スマートフォンの縦位置・横位置の自動判別です。
また、録音レベルも自動で調整し、撮影前の設定をできるだけ減らしています。大きな音を録る際にはアッテネータも使用できます。
こうした工夫を知ると、約24gという軽さの意味も変わってきます。
持ち歩きやすく、撮りたいときに取り付けて使えること。そこまで考えて開発された製品なのです。
実機で感じたECM-AX10の音の方向と距離感

ここからは、私が10月9日に公開した実機レビューを振り返ります。
最も印象に残ったのは、離れた場所から近づいてくる人の声でした。
近づいてくる声の距離感が面白い
ヘッドホンで音を確認すると、左右だけでなく距離の変化まで感じられました。
実際、娘もその面白さにすぐ気づいたようです。スマートフォンに近づきながら、声の強弱を変えて遊んでいました。
難しい設定を考えるより先に、音そのものを楽しめる。
この体験は、開発者が目指した使いやすさにも通じるものがあります。
後ろを走る車の音にも驚いた
また、室内で録音した際には、窓の外を走る車の音が後方から聞こえるように感じました。
単に環境音が混ざっているのではありません。
音がどの方向から聞こえるのか。その位置関係まで感じ取れたことが印象的でした。
今回、開発時に人が歩きながら話す声を検証していたと知り、実機での体験とつながりました。
私が感じた面白さは、開発チームが追求した臨場感と重なる部分があります。
なお、音の方向や距離感の感じ方は、再生環境によって変わります。ここでは、私自身が実際に体験した印象をお伝えしています。
SELFIEスイッチは撮影前に確認したい
一方で、実機レビューでは注意点もお伝えしました。
それが、本体に搭載された「SELFIE」スイッチです。
インカメラとアウトカメラを切り替える際は、設定の確認が必要です。映像と音の前方向を合わせるための操作になります。
ヘッドホンでモニターしない撮影では、特に意識しておきたいポイントです。
実機の操作感や音の印象は、別記事で詳しく紹介しています。
関連: ECM-AX10を体感|スマホ動画が「場所の音」まで残せる。実際に使って分かった楽しさ
スマートフォンで撮影から編集まで完結させる発想

ECM-AX10の企画は、空間オーディオの制作を身近にする発想から始まりました。
従来、空間オーディオは映画や音楽など、プロが制作するコンテンツを中心に広がってきました。
しかし、現在はスマートフォンで動画を撮り、自分で編集して発信する時代です。
そこで開発チームは、録音だけでなく制作の流れ全体を考えました。
専用アプリ「Spatial Audio Video Tool」を使えば、撮影後の確認や簡単な編集、動画の書き出しもスマートフォンで行えます。
また、録音形式はアンビソニックス、バイノーラル、ステレオの3種類に対応しています。
さらに、開発段階から「Eclipsa Audio」への対応も視野に入れていました。
Eclipsa Audioは、YouTubeでも採用されている空間オーディオ技術です。
そして、ECM-AX10はマイクロホンとして世界で初めて「Eclipsa Audio」の認証を取得しています。
つまり、音を立体的に録るだけでなく、その魅力を多くの人へ届けるところまで考えた製品なのです。
なお、利用できる機能は対応スマートフォンやアプリによって異なります。購入前には、公式の対応情報を確認しておきましょう。
ECM-AX10の発売日と価格

ECM-AX10は2026年10月23日(金)発売予定です。
ソニーストア販売価格は29,700円(税込)。本体質量は約24gです。
ECM-AX10は、対応するスマートフォンにUSB Type-Cで直接接続できます。
そのため、大がかりな録音機材を用意せずに空間オーディオを収録できます。
購入を検討している方は、対応機種やアプリの条件も確認しておきたいところです。
公式:ECM-AX10|商品情報はこちら
まとめ|ECM-AX10の球形には音づくりの理由があった

今回の開発秘話を通して、ECM-AX10の球形デザインには、確かな理由があることが分かりました。
4基のマイクで空間の音を捉える構造。そして、スマートフォンによる音の遮りを抑える配置。
さらに、ソニーPCLとの音づくりや、従来のマイク技術の活用も印象的です。
私自身、実機を体験したときには、音の方向や距離感に驚きました。
今回のインタビューを読んだことで、その体験を支える開発者の工夫や思いを知ることができました。
写真は景色を残し、動画は動きを残します。
そこに、その場所で聞こえていた音も加わる。
ECM-AX10は、そんな新しい思い出の残し方を提案してくれるマイクだと感じています。
実は私も、旅先でその場の音を残してみたいと思い、ECM-AX10を予約しました。
旅先の風景と一緒に、街のざわめきや自然の音をどのように残せるのか。今から楽しみにしています。
公式情報・関連ページはこちら
ECM-AX10の開発秘話や製品仕様について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
また、購入を検討している方は、ソニーストアの価格やお届け目安もあわせてご確認ください。
・広報note|ECM-AX10開発秘話(2026年10月15日公開)
・ソニー公式|ECM-AX10|商品情報
・ソニーストア|ECM-AX10|価格・購入情報
・ナカムラ電器|ECM-AX10実機体験レビュー(2026年10月9日公開)
この記事を書いた人

よしおくん
横浜のソニーショップ「ナカムラ電器」で、ソニー製品の販売と情報発信を担当しています。
カメラ・レンズ、Xperia、ブラビア、オーディオなどを実際に使い、ソニーショップとして販売する立場と、実際に製品を使うユーザーとして感じたことの両方から記事を執筆しています。
新製品の先行展示にも足を運び、スペックだけでは分からない使い心地や、購入前に知っておきたい情報をできるだけ分かりやすくお届けします。
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